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04_ KANABO CHOCOLATE × 中川自然農園(与謝野町・大宮町)

  • 7 日前
  • 読了時間: 7分

更新日:6 日前






FOCUS


丹後の生産者をご紹介




与謝野町・大宮町

04_ KANABO CHOCOLATE × 中川自然農園





SOIL TO BAR CHOCOLATE.

土から考えるチョコレートの新しい形。





“カカオ豆は、丹後では育ちません。”



その当たり前の事実をふまえながら、

あえてこの土地でチョコレートのプロダクトを手がけるのが

「KANABO CHOCOLATE」の矢野裕亮さんです。


KANABOでは、丹後で育ったお米と選び抜いた高品質なカカオ豆を掛け合わせ、

クランチチョコレートやチョコレートシリアルといった

「米づくりから生まれたチョコレート」をつくられています。




東京で料理人として研鑽を積まれていた矢野さん。

都会に溢れる洗練されたチョコレートに触れるなかで、

その素材が持つ「世界中のどんな素材とも組み合わせることができる自由さ(汎用性の高さ)」に魅力を感じていました。

それと同時に矢野さんが思い立ったのは、故郷・丹後の食が持つポテンシャル。


「地元・丹後のプロダクトを作りたい」と考えたとき、真っ先に浮かんだのは、自身も深い愛着を持つ「お米」の存在です。遠い国の素材であるカカオを媒介にすれば、見過ごされがちな地元の「お米」の価値を再定義し、新しい形で世界へ届けることができるのではないか。矢野さんの料理人として培った視点とお米への想いが結びつき、「地元の米を使い、米づくりから関わるプロダクト」としてのチョコレートが誕生しました。


「地元の米を使い、米作りから関わるプロダクトが作れるのではないか」


離れて初めて気づいた故郷の豊かさ。

「丹後といえばKANABO」と言われるまでこのプロダクトを育て上げたい。

その決意を手に、丹後の魅力を新しい視点で矢野さんの「耕す」挑戦が始まりました。



お米をつかったチョコレートのつくり手が一次産業である農業の現場へと深く視線を注ぎ、

共にプロダクトを生み出していく。


そんな新しいものづくりの背景を探るべく、

今回はKANABOさんのお米を手がける中川自然農園さんでお話を伺いました。









美味しいという直感から始まった信頼



​都会のプロダクトに負けない丹後のお米を求め

矢野さんが相談したのは「中川自然農園」の中川秀雄さん。

料理人時代、矢野さんが衝撃を受けるほど美味しいトウモロコシに出会い、その作り手を辿って行き着いたのが中川さんだったことがお二人の出会いのはじまりだとか。


「土づくりから携わって丹後のお米を使ったプロダクトをつくりたい。」

という矢野さんの申し出を中川さんが快諾しはじまったこのプロジェクト。

「自分の考えを理解し、助けられていただいた恩は今も忘れていない。これからも中川さんに恩返しができるくらい、もっと売っていきたい。

中川さんのお米そのものの魅力もKANABOを通じて発信していきたい」と、

矢野さんは語ります。


(左)KANABO CHOCOLATEの 矢野 裕亮さん。(右)中川自然農園の中川 秀雄さん。農園にて撮影。





中川さん:変化し続ける土壌に、強い農業を



矢野さんが全幅の信頼を置く中川さんの農業は、

現状に甘んじることのない、たゆまぬ探求の連続です。


今回中川さんが矢野さんの誘いに応じたのも、

そこに「循環」というキーワードがあったからだそう。


土作りから参加しているという誠実なストーリーは、きっとお客さまの心に響く。

中川さんはそう確信しつつも、背景の素晴らしさだけで終わらせるつもりはありませんでした。一番大切なのは、やはり口にしたときに「圧倒的に美味しい」ということ。

どれだけ誠実なプロセスがあっても、味そのものに感動がなければプロダクトとして選ばれ続けることはない。そう考えるからこそ、中川さんの土へのアプローチはどこまでも貪欲であり、矢野さんが「この人の力が必要だ」と全幅の信頼を寄せる理由もそこにあります。


中川さんが自然農法を志した背景のひとつには、

「輸入資源や情勢に左右されず、自分の手の届く範囲で健やかに作り続けたい」という

持続可能性への切実な想いがありました。


「これからはもっと真剣に土づくりをしないと、気候の変化には

耐えられへんなと思ってる」


近年の猛暑や気候変動を肌で感じている中川さんは、いまもさらなる試行錯誤を重ねています。たとえば地表の熱に左右されないよう、50cm以上の深さまで土を掘り起こし、根を深く張らせるなど。安定して収穫し続けるための「強い農業」を目指し、ランニングコストを抑えた持続可能な仕組みを模索しています。


中川さんが目指すのは、お米も野菜も力強く育つ「オールマイティな土」。

「切られたことすら気づかないほど瑞々しいきゅうり(と、もちろん、ええ包丁も大事とのこと)」に象徴されるような生命力あふれる素材を求め、二毛作による効率的な養分づくりなど、独自の理論を実践しています。


土づくりを元素記号の視点など科学的なアプローチを極めようと学びを止めぬ一方で、「最後は自分の経験と『ええもんはええ』という感覚が大事」と笑う中川さん。

その真摯で、味への絶対的な自信を秘めた軽やかな向き合い方が、チョコレートの核となるお米を支えています。


二毛作による効率的な養分づくりを実践されている中川さんの田畑。一部の区画がKANABOさん専用米の田んぼとのこと。

取材時は春先の土おこしの真っ只中。田んぼに切り替わる前に育てられていた自然製法の蕪の葉をいただきました。




矢野さん:Bean to bar chocolateのこだわり



場所を農園から工房へ移すと、そこには焙煎されたカカオの強い香りが。

ここでの主役は、ベトナムの小さな農園から届くカカオ豆。

通常、商社を介してコンテナで輸入されるカカオ豆は、手元に届くまで3〜4か月ほどかかるのが一般的。しかしKANABOでは、矢野さんがお知り合いとの繋がりから生まれたルートを活かし直接仕入れているため、約2週間で丹後へと豆が届きます。


大きな違いは、カカオの香りの良さ。中川さんのお米に合わせるために、矢野さんが選んだのは、ナッツのような芳醇さとフルーティーな酸味を持つ「トリニタリオ種」。


その特有の芳醇なアロマを、矢野さんは料理人としてのスキルで最高の一枚へと仕上げます。カカオは季節や農園で変わるため、毎回同じではないそう。

それを都度、矢野さん自身の感覚で調整し、平均化していく。


チョコレートが安さだけでは選ばれない時代に、

Bean to bar chocolateという手法を選ぶこと。

それは決して大げさな理想を掲げているのではなく、

ただ「美味しい」を誠実に追い求めた結果でもあります。



カカオ豆の皮(カカオハスク)をむいた中にあるのが、チョコレートの原料となる「カカオニブ」。

メランジャーと言われる機械をつかい、24時間以上かけてカカオニブをすりつぶします。

油分の多いカカオニブを砂糖とあわせ攪拌することで、なめらかな質感となるそう。








土とつながり、未来を耕す



KANABOのチョコレート作りは、丹後の豊かな循環の中にあります。

象徴的なのは、製造過程で出るカカオハスク(豆の殻)のゆくえ。

これを廃棄せず、中川さんの田んぼの土へ還す試みは今年で3年目を迎えます。

「まだまだ試行錯誤の途中。でもこれが完成したら、大きな強みになると思います。」と

お二人は話します。

土から一緒に作り上げる。そのプロセスを共有しているからこそ、

届いたお米が持つ素材本来の力とカカオが調和されたプロダクトが生まれるのです。



廃棄されてしまうカカオハスクは栄養豊富な副産物。「もったいない」で終わらせたくない想いから始まったプロジェクトは

現在KANABO CHOCOLATEの取り組みの核となっています。



中川さんは言います。「地域全体が元気になってほしい。観光は『光を観る』と書くし、

ここが元気やったら、与謝野町をはじめ丹後にもっと人が来てくれると思うんです。」


そんな中川さんの想いに呼応するように、矢野さんも次の構想へと少しずつ動き出しています。今後新しく構える工房の前に広がる田んぼも活用される予定だとか。

「自分自身ももっと農業の現場へ入り、余剰米の活用も進めたい。何より、訪れた人が稲穂を眺めながらお茶を楽しめる場所にしたいんです。地元の人がふらりと立ち寄れるようなものが理想です。」



お二人が大切に紡ぐ「米づくりから生まれたチョコレート」。

私たちも販売という形を通じて、その先にある健やかな循環の輪に加わることができれば

嬉しく思います。



最後に撮影させていただいた、おふたりの素敵な1枚。ご協力いただきありがとうございました!




取材日:2025年4月初旬

取材先:KANABO、中川自然農園


Information:


KANABO CHOCOLATE

629-2263 京都府与謝郡与謝野町弓木204-7



中川自然農園

629-2513 京都府京丹後市大宮町延利387




 
 

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